みなさんは、トム・クルーズの「エージェント」という映画を見たことがあるだろうか。ジェリーという主役をつとめるトム・クルーズは、全米一のスポーツ・エージェント会社SMIの有能なエージェントという設定。
彼は高価な年棒と引き換えに選手の家族やファンの気持ちを犠牲にしてきた自分と会社のやり方は正しいのかと悩み、初心に戻って理想に満ちた提案書を一晩で書き上げ、提出する。だが、あっさり彼はクビになり、たくさんいたクライアントも同僚ボブにごっそりさらわれ、残ったのはキューバ・グッディングJr.演ずる落ち目のアメリカン・フットボール選手のみになってしまう。
その後は色恋沙汰を経て、ぐってぃんぐJrが大活躍、みんなハッピー、という映画。見たことがない人は見てみるとアツイ。
検事この映画を若い頃に映画館で見て、ちょっと弁護士いいよ、と思った。
アメリカではスポーツ・エージェントの職業を弁護士がやることも多い(松坂の代理人みたいに弁護士さんじゃない人もいっぱいいるが)。
そんなスポーツ・マネジメントを世界に広めた功労者で、かつ最大のスポーツ・マネジメント会社がIMGというアメリカの会社だ。IMG、Intenational Managemant Groupというそのまんまの名前である。
IMGの設立は1960年。
Yale大学ロースクールを経た弁護士のマーク・マコーマックが、旧知の友人アーノルド・パーマーと夕食を共にしていたことに端を発する。
アーノルド・パーマーはご存じ長らく世界一のゴルファーだった男だが、彼はマコーマックに、試合を選ぶ・航空チケットをとる・ホテルをとる・ギアを送る・などプロスポーツ選手にはプロとしてスポーツに打ち込めない雑多な仕事が数多くあることを教えた。
マコーマックはそこにビジネスチャンスがあることに気づき、スポーツ・エージェントの会社を設立することを決意。それがIMGである。
当然、IMGの初代契約選手はアーノルド・パーマーとなった。
訴訟社会のアメリカでは美談として伝えられるのが、なんと
「IMGとパーマーは未だに一度も契約書を交わしていない」
ということ。握手という、お互いを信頼しているからこそ成り立つ関係がIMGとパーマーにはあったのだ。そんなIMG、その後勢いはウナギのぼり。
テニスのウィンブルドンや、R&Aというゴルフのルールを決めているゴルフ総本山の顧問になった辺りから業務はゴルフ・テニスを軸に拡大していく。現在ではNFLやNBAは勿論、欧州フットボールにまで、文字通り民間企業ではスポーツ・エンターテイメント業界に世界一の影響力をもつ企業となった。近年ではスポーツのみならずドラマ制作などメディアへの進出も著しい。
過去の契約選手をみても、ナンシー・ロペス、クリス・エバート、ナブラチロワ、ビヨン・ボルグ、ジミー・コナーズなど錚々たるメンバーが顔をそろえる。
この辺はデカも詳しいと思うが、MLBのプレイヤーは一人一人が独立採算の個人事業主だから、自分でエージェントを雇っている。更に雑事は球団がやってくれるため、若干IMGの力は他のスポーツに比べると弱いのか。と思いきや、MLB自体のマネジメントに参画している。抜け目ない。。。ちなみに世界ラグビー協議会(IRB)やサッカー・プレミアリーグ自体のマネジメントもやっている。強い。
更に言うと、アメリカでは非常に人気のあるカレッジ・スポーツもIMGがガスガス仕切っている。
そして現在の看板選手は、世界最強コンビのタイガー・ウッズ&ロジャー・フェデラー。
それからアニカ・ソレンスタム、マリア・シャラポア、ポーラ・クリーマーなどなど超多数。
そして我らが錦織圭&浅田真央。どうでもいいが今一番気になるアスリートは真央ちゃんだ。
テニスの王子様、錦織圭くんが所属するニック・ボロテリー・テニスアカデミーや、うんちく読者ならもう既によくご存じのデイビッド・レッドベター・ゴルフスクールもIMGの管理の下に運営され、優秀な若いプレイヤーは幼いころからIMGの支援を受けてそれぞれの競技に集中できる環境を与えられる。
※ かなりど〜でもよい余談だが、第2のシャラポアと言われるバイディソバ。彼女もIMGで錦織くんと仲良しらしいんだが、我らが松岡修造は、二人の会話や行動を尾行した結果、まだ付き合っているわけではなさそう、と意味不明の安心コメント。
もとい。
そして世界で戦えるプレイヤーになった頃にはIMGの契約選手として権利関係やメディア戦略なども含め、すべてはIMGの管理の下に売り出されていくのだ。
マコーマックが2003年に逝去してからはフォーストマン&リトルが同社を買収したが、結局やることは変わらず未だに世界有数のマネジメント会社である。
そのうち、IMGに関する続編を書くかもしれないし、書かないかもしれない。。。
」
0 件のコメント:
コメントを投稿