今回は「クラブの進化」について考える。
最近、ドライバーヘッドは大きくなり続けている。現在の公式ルール上、460ccがその上限とされてい(上限モデルと表記される)のヘッドを作り続けている。
要求されるのは「体積」が460ccまでということだから、水を一杯張った器にヘッドをチャポンと入れてみて、こぼれてきた水の総量が460cc以下ならOKということになる。
逆に言えば、体積が460cc以下であれば、投影面積(上から見たときに感じる大きさ。厚みは考慮しない)は自由に設計可能だ。
そこが各メーカーの腕の見せ所となる。
(尚、USGAとR&Aの規則上ドライバーのヘッドは縦横5インチ以内とされている。USGAとR&A、そしてルールについては後日詳述したい)
デカヘッドの代名詞といえば、現在は、
テーラー=バーナー
ナイキ =サスクワッチSUMO2(スクエア)
タイト =907D1(△の方)
キャロ =BigBertha460やFT-5
などであろうか。そんな中、ツアーステージ(BS)からV−GTという新作も発表された。
このクラブ、極めて投影面積が大きい。
このクラスは、他にはコブラのSPEED LD(http://cobragolf.co.jp/drivers/f_speed_ld.shtml#)くらいしかない。
構えたときのヘッドの大きさは、
「違和感がない範囲で大きいもの」
が好ましいとされている。大きすぎると本能的に「シャープに振れない」と思ってしまい、余計な力が入るからだとされている。
では、なぜ大きい方がよいのか?
(ちなみに、大きいヘッドはいわゆるつかまりが悪い。フェースターンしにくい構造だからである。そのうち詳述する)
極めて単純に言えば、大きいヘッドではフェース(球が当たる部分)を大きく設計できるため、ミスヒットに強い。
更に言えば、大きいヘッドでは重心の位置を自由に設定できるため、重心深度や重心距離を適正に配置することによって、ミスヒット時の距離のロスを防ぐことができる。
そして、みなさん大好きなMOI、すなわち慣性モーメント。
慣性モーメント(MOI=Moment of Inertia)については後日詳述する(かなり奥が深い)が、単純に言えば「モノをまっすぐに動かそうとする力」である。大きいヘッドではシャフトの中心線からフェースを結んだ線に対し、重心を遠くに配置することによってこのMOIの値を極端に大きくすることができる。
例えば、パーシモン時代のドライバーはMOIの値が1800程度であったと言われる。
一般に、その体積の10倍あれば物理的なMOIは悪くないとされ、180cc程度のヘッドだった時代にはこれ以上望むべくもなかった。しかし、現在では460ccのヘッドでMOIが5000超も珍しくない。
常にギアの革新に対してはルールが後追いをするが、MOIについても例外ではない。
近い将来、MOIの最大値を5900とする改正がなされると言われている。
なんで5900なのか。それは、、
ルール改定にR&AやUSGAが動き出した時、既にナイキのこのドライバーが開発されていたからだという噂がまことしやかにながれている。
ちなみに、PINGが昔物凄く大きいヘッドのパターを作ったことがある。大きさが大きくなればなるほど、フェースの向きのシビアさが緩和されるからという理由で作られたが、これが世に出回ると「大きすぎるヨ」「だよね」ということでこのサイズを超えるパターは作れなくなってしまった(このパター、中古ショップで意外とよく見かける&安い)。
次は何が規制されるんだろう。。
一番大切なのは、ギアの恩恵を最も受けているのはプロであるということ。
アマは、、、下手だから、、、あんまり恩恵を受ける前にルールだけ厳しくなっていく。
Cleavelandの新作、「ZIP GROOVE」のウェッジ。
そのロフト・バウンス角のバリエーションの多さ、スタンダードな顔つき、そしてすさまじいスピン量で現在業界に浸透中である。
このようなミルド(削り)加工をされた素晴らしいクラブも、来年以降規制の波に飲まれて行く。
R&Aは、ウェッジにおけるグルーヴ(溝)の形状について規制する方向らしい。
いわゆる角溝(階段みたいな溝)はダメになり、U字溝はギリでOK、みたいな方向で伝えられている。
プロはいいけど、アマチュアがようやくスピンの効いたアプローチを楽しみはじめた矢先、悲しいニュースだった。
ちょっと知的な捜査報告書、以上である。
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