2007年10月24日水曜日

ウェッジの科学(その2)〜バウンス〜

前回説明したように、サンドウェッジはジーン・サラゼンが「バンカーからの適切な脱出」を意図してつくったものである。
バウンスについておさらいすると、
この角度をバウンス角という。シャフト線に対して垂直に線を採ったとき、下に(図1だと上に)出っ張っている部分をバウンスと呼ぶのである。

一般的なサンドウェッジのロフトは56~58度(ロフト60度以上のロフトがあるクラブを ロブ ウェッジ (LW) と呼び、逆に、ロフトの少ないものをピッチングウェッジ (PW)と呼び、 44~48度のロフトとなる)。

かなり古い時代には、バンカーからでも直接ボールにインパクトしていたらしい。

しかし、それだと検事もよくやるが「ザックリ」と「ホームラン」の確率がやたら高くなってしまうのだ。

そこで、ジーン・サラゼンは「直接ボールを打たずに砂ごと飛ばせばいいのではないか」と思い、そのような芸当が上手くできるクラブを開発した。それがサンドウェッジである。

バウンスの角度は非常に微妙で、現在は8~14度くらいまで市販されているが、一般的に言えば10度のバウンス角がスタンダードと言えるだろう。つまり、8度のものは「ローバウンス」で14度のものは「ハイバウンス」に分類されることになる。

多くのプレーヤーが好むボーケイ・ウェッジ(ボブ・ボーケイさんというおっさんがデザインしているウェッジで、検事も長く愛用していた)では、各ロフトによってそれぞれ2種類のバウンス角が用意されていることが多い。
(ちなみにボーケイ・ウェッジの読み方を伝授すると、この写真はSM56・14と書いてある。従ってこのウェッジはスピンミルドというシリーズのロフト56度、バウンスは14度ということになる。このほか、SMではなくて258・08や260・04などと書いてあるものも多い。これは「200シリーズのロフト58度バウンス8度」「200シリーズのロフト60度バウンス4度」と読む。つまり、ボーケイ・ウェッジは一番右の2桁がバウンス、その次の2桁がロフトであって、その前の記号や数字はシリーズを表すと覚えておけばよい。BMWの車種と似たようなもんである。)

むむ、いかん話が逸れた。。。

検事が長い間アプローチやバンカーショットでザックリとホームランを繰り返していた時、雑誌のアプローチ・バンカー特集を熟読した結果、これらのミスは「バウンスを使えていないミス」であることがわかった(これは検事のお師匠にも確認済みである)。

どちらも考えてみれば当然なのだが、
(1)リーディングエッジが地面に突っ込むとザックリ
(2)リーディングエッジがボールの赤道(真ん中)より上に当たるとホームラン
なのである。

そうだとすると、まずリーディングエッジが地面に刺さりそうなイメージを捨てるべきであり、他方毎回ボールの赤道の下にリーディングエッジを当てていくイメージはいかにもトップしそうで怖い。
そこで、「バウンス(ないしソールの真ん中)をボールのちょい手前の地面に落としていく」というイメージが登場する。

そうするとどうなるか。

言わずと知れた話だが、バウンス角が地面と並行に(つまり、本来のロフトより立って)なりつつ芝の上をツルツル〜とすべり、「毎回同じインパクト角」を迎えることができるというわけである。
バンカーでも同様。バウンスを砂に落としてしっかりフォローをとれれば、バウンス角が砂を爆発させるためボールは衝撃を殺されながら飛んでいくということになる。その効率の良い砂飛ばしをジーン・サラゼンが追求した結果、彼は理屈ではなくソールを下に出っ張らせるとよく砂が飛ぶということからこのバウンスを発見し、サンドウェッジを作り上げたのである。

なんだ、それならばバウンスは大きければ大きい方が良いじゃんか。

と思うが、話はそんなに簡単ではないのだ。。。

なぜなら、
(1)芝がはげているところや締まった花道などからは、「バウンスが跳ねて」しまいトップしやすくなる
(2)締まったバンカーや水を含んだバンカーでも同様
(3)フェースを開いて構えるとリーディングエッジがバウンスのせいで浮いてしまい、トップしやすい
という問題点があるからだ。

結局、「毎回同じインパクトを迎えることのできる上級者」は、いきおいローバウンスのウェッジを選ぶ傾向がある。マルちゃんなんかはサンドウェッジでなんと4度。こんなシビアなウェッジ、とてもじゃないが検事が使ったら毎回ザックリとホームランである。。。

更には、ダウンブローに打つ傾向のある人(検事)にはハイバウンスが向いていて、レベルスイングの人はローバウンスが向いているというデータもある。構えた感じが良く、ピッチショットなどで抜けの良いソールの クラブを選ぶことが極めて重要ということに間違いがないはないが、その人によってあっているバウンス角は違うのである。

結局、様々なバウンスを試してみる必要があるということになるだろう。

ちなみに、伊沢がバウンス0度のウェッジで試しにバンカーショットを打ってみる特集が前あった。結果は、いつも使っているウェッジに比べて悲惨なものだった。。。。
よらない、ホームラン、ザックリ。。。
                (ハクション大魔王の壺に似ている)

ウェッジは特に単品で買える上単価もそう高くないので、色々と試してみると良いだろう。

ちなみに、キャロウェイファンには朗報だが、ドン。も愛用する名器X-tour Wedgeに加えX-Forged wedgeというウェッジがツアーで支給され始め、来年には市販されるとのこと。
この人、キャロウェイのクラブデザイナー、ロジャー・クリーブランドさんが心を込めた渾身の作のようである。X-tourウェッジでは「コンケーブ・グラインド」と呼ばれるソール中央のへこませた削り(これによってバウンスの効きが一瞬遅くなり捕まった感じがでるそうだ)で一世を風靡したが、今回のウェッジでは「Cグラインド」という削りが採用されているとのこと。ネック側とトウ側のバウンスをやや削り落とすことにより、前記問題点(3)の「ハイバウンスは開いて使いづらい」という問題を解消したとのこと。

これは楽しみな一品である。。。

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